増えているこどものわきが

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こどものわきがの傾向と実態調査

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脂肪吸引に対する質問

わきが人口はじわじわと増えている?

増えているこどものわきが

私がクリニックを開設してから、もう20年になりますが、ここ数年の傾向としてわきが・多汗症に悩む方が増えているように思います。これは統計を取ったわけではありませんので断言はできませんが、10年ほど前と比べると、汗とニオイの悩みを相談される患者様が増加しているように感じるのです。
もしかしたら、私の思い違いかもしれません。ひと昔前までは「わきが治療は後遺症のリスクが高い」という根強い誤解があり、そのため手術を受ける人が限られていたということもあるかもしれません。そして近年になって安全で効果的な治療法が確立され、それが一般にも知られてきたために「治療を受けたい」という人が増えている…ということなのかもしれません。
ですがそうした事情とは別に、汗とニオイに悩む人が増えているということには、明確な理由を挙げることができます。
ひとつが、過剰なストレスです。別の項目でもお話ししましたが、ストレスとわきがは「ほぼ直結」と言って良いほど、密接につながっています。よく「ストレスで胃が痛い」という話を聞きますが、胃に負けず劣らず、わきがはストレスの影響を受けやすいものなのです。
現代はたいへんなストレス社会です。ことに家を出て働く方々は男女を問わず、さまざまなプレッシャーとストレスにさらされていることでしょう。趣味や道楽で発散できれば良いのですが、それができない人もいます。家に帰ってのんびりできれば良いのでしょうが、「帰れば帰ったで、また別のストレスが…」という不幸な方もあるでしょう。もともとの体質に加えてこうした外因的な要素が働くと、急速にわきが臭を発するようになります。「これまでそんなことはなかったのに、このところ急に体臭が強くなってきた…」そんなケースは決して少なくありません。そのすべてとは言いませんが、こうしたケースではストレスが原因となっていることがとても多いのです。

こどもたちも大人の影響を受けている

わきが人口が増えている理由として、ストレスと並んで食事の欧米化による体質の変化が挙げられます。これは「わきがの発生原因」のところでもお話ししましたが、動物性のタンパク質や脂質が多く野菜が少ないと、やはり体質の変化によってわきが臭が発生する可能性があります。歴史的に肉食を中心としてきた欧米人にわきが体質の人が多く、逆に野菜と魚を常食としてきた日本人には少ないということを見ても、食事による体質の変化は決して軽視できるものではありません。そしてストレスの増加も含め、こうした生活習慣の影響を受けているのが、こどもたちです。
このお話の冒頭で、私は「このところ、わきが・多汗症で悩む方が増えている」とお話ししました。そうした患者様の中にはかなりの割合で、小学生程度のこどもたちが含まれているのです。
そもそもわきが・多汗症は体質による症状です。体質というのはアポクリン汗腺の総数や分布密度、活動の活発さ、さらには汗に含まれる成分のバランスなどです。これらのうちのいくつかは本人の生活習慣によって変化しますが、基本的には両親から受け継いだ遺伝的なものが強く影響します。そのため両親のいずれか、さらには両親ともにわきが体質であったとすると、かなり高い確率でその体質はこどもに引き継がれていきます。
これまでの経験から申し上げれば、たとえ両親からわきが体質を受け継いでいたとしても、小学生くらいの年頃で強い臭いを発することは珍しいケースでした。わきがは体質に加えてホルモンの影響を強く受けます。そのため心身に大きな変化が表れる思春期になって、ホルモンバランスの変化からわきが臭が起こるようになるというのがほとんどだったのです。
ですがここ数年、思春期のはるか前…小学生の低学年で強いわきが臭に悩むケースが増えているのです。これもまた食事の欧米化によるものと考えられるでしょう。さらに推測するなら、こどもはこどもなりのストレスを抱え、しかもそれを大人のようにうまく解決できないために表れた、体が発するシグナルなのかもしれません。

こどものわきが・多汗症は治療できるのか

患者様からよく質問されることなのですが、わきが治療には明確な年齢制限というものはありません。わきが治療といってもさまざまな方法がありますが、治療に耐えられるだけの体力があり、適性が認められれば、ご本人と保護者の方の同意のもとに治療を行うことは可能です。むしろ、周囲にはっきりと判るほどの強い臭いを発しているなら、こどもほど早く対策をうち、治療すべきかもしれません。
わきがという症状が厄介なのは、周囲に不快感を与えがちだという点です。それが判っているからこそ、わきが体質の方は「わきがが臭っていないだろうか」と常に心配することになってしまいます。自分の体臭は自分では気づきにくいものですから、心の安まるときがありません。そのために精神的にまいってしまうこともしばしばです。
大人でさえそうなのですから、こどもはもっと辛い思いをするでしょう。学校でいじめに遭ったり、仲間はずれにされたりということも起こるかもしれません。大人であれば乗り越えられる精神的な痛手でも、こどもにとっては生涯にわたって残る深い傷になるかもしれないのです。
こうした事情もあって、私は自分のわきが・多汗症治療にさまざまな改良を加え、こどもでも受けられるような負荷の軽いものにしました。ですが、こどもの悩みや変化に最初に気づき、解決への道筋を手を引いて導いていけるのは、まず保護者の方々です。思い当たるところがあれば、さりげなく話を聞いてみるなど対策をしてみてあげてはいかがでしょうか。

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